先日、都内で開催された不動産会社経営者向けのセミナーを受講してきました。テーマは、「組織活性化の実務」というもので、講師は、企業再生や不動産投資事業、教育事業など多方面で活躍されてきた経営者でした。

講義の中で強く印象に残ったことの1つは、その人がこれまでに出会われた著名な経営者の方々は、例外なく、経営理念なくして企業経営は出来ないとの考えを強く持っていたというお話です。

人間が肉体のみで生きているのではなく、精神を持ち、それゆえ人格的存在であることにも似て、企業も実務のみで成り立つのではなく、経営理念を有して初めて擬似生命体とでも表現すべき、活き活きとした社会的存在となるのだと思います。経営理念は、単なるスローガンではなく、企業の存在理由の中核に据えられるべきものであり、人間に例えれば、霊魂や精神に相当する部分とも言えるでしょう。

セミナーを受講して私自身を省みたとき、これまで、経営理念を社内に浸透させる努力が不足していたのでは、と反省させられました。実務における成果を追求することは至極当然のことですが、売上高、利益、労働生産性のような、数値に表すことが出来る部分のみに目を留め、経営理念と使命とを蔑ろにするならば、行き着くところは、利に聡いが中身の無い、品性の卑しさを愛想笑いで覆い隠すような、奇妙な集団となってしまうでしょう。

 単刀直入に言えば、自ら掲げた経営理念に基づいた経営を行おうとしない経営者は辞めるべきであり、経営者の掲げる経営理念を真剣に受け止めない社員は会社を去るべきです。

今回受講したセミナーは、経営理念には、それくらいの重みがあるということを気づかされた有意義なものでした。