来る52日、当社は77回目の創立記念日を迎えます。当社の場合、事業の創業と会社の創立は同時ですので、77年もの間、地域の皆様にご愛顧いただいてきたことになります。

 当社が創立された1939(昭和14)年の日本の状況は、軍需物資など工業生産力の増強に国を挙げて邁進していた時代です。川崎にも全国各地から工場労働者が集められたことで、それらの方々の受け皿となる住宅が不足したことから、川崎市が音頭をとり、市内に本社や事業所を有する製造業を中心とした企業が出資して、勤労者向け住宅供給会社としての当社が誕生しました。

 創立後数年間に、社業は急速に成長したのですが、第2次大戦末期の空襲により会社資産の大半が灰燼に帰し、戦後は都市復興としての土地区画整理事業に従事しながら、事業の再建がなされました。その後は、高度経済成長期にも入り、当社の経営状況は長く安定的に推移しました。

 さて、私自身が前任者から社長職を受け継いだのは、2007(平成19)年でしたが、まず最初に進めたことは、事業の大幅な再編を伴う経営再建でした。当時は、新規事業として異業種事業を大々的に手がけており、それが経営上の重荷になっていたのです。不採算部門の社員やアルバイトの皆さんに辞めていただくなど、思い切った方策を進めざるを得ない状況でした。そのような中、私は、敗戦後の厳しい時代に会社存続のため重責を担った先人らの労苦に比べれば、今の困難など大したことではない、という思いを持ち経営改善を進めたことを思い返します。

 山あり谷ありの77年間でしたが、今日まで当社が存続できたこと、それだけでなく、社員を雇用し、新しい事業にチャレンジもできることは、多くの皆様のご支援があればこそと感謝しております。

 会社が存続できるのは、当社の商品である賃貸不動産と関連サービスをご利用いただいているお客様あればこそです。今後も、当社のご提供する住宅や事務所・店舗に入居して良かったと思っていただけるように、商品とサービスの品質向上に取り組んで参ります。お客様が幸せな人生の日々を過ごされるため、また、ご事業が繁栄するため、少しでもお役に立つことが、当社役職員にとって大きな喜びです。
 当社経営者として、社業を支えてくれている社員たちに、本ブログ記事からも感謝の思いを伝えたいと思います。縁あって当社に入社し、時には困難な仕事に苦悩し、あるいは、上司の叱責を浴びたこともあったでしょうが、示される経営方針のもと、忠実に仕事に励んで来たことは立派だと思います。そこで働く者たちが、職業人として、また1人の人間として、より充実した人生を送ることが出来るよう、これからも共に励んで行きましょう。

 また、当社事業を常に支えてくださっている、金融機関を含めた取引先の皆様にも感謝しております。当社取引先の皆様は、長きに渡りお付き合いを続けていただいている会社様も多く、中には、創立以来77年間継続して取引させていただいている会社様もあります。先に書きましたように、当社の歴史の中では、大きな困難に直面した時期もありましたが、そのような時にも信頼関係を維持していただき、事業の支えとなってくださったことで大いに助けられてきました。皆様のご事業がますます繁栄するよう、願ってやみません。

 そして、株主様から受けてきたご支援にも感謝したいと思います。私は、出資者の利益が常に他のステークホルダーの利益よりも優先されるべきだというような、いわゆる新自由主義的な経営スタンスを採りません。ですから、経営再建期には、何年か株式配当は無配でご容赦いただいたこともあります。にもかかわらず、今日まで当社の株主として支援してくださった皆様には、敬意と感謝の念を抱くものです。

 最後に挙げさせていただきますが、当社が事業を展開している地域の皆様にも、地域社会に受け入れてくださっていることに感謝いたします。当社は不動産を扱う事業会社ですから、地域の皆様との良好な関係無しに、正常に事業を継続することはできません。川崎で誕生した会社として、今は川崎を中心にいくつかの他の大都市でも事業展開をしておりますが、当社を育ててくださった川崎市民の皆様には、社会貢献という形で恩返しをすべく、市内の高校生を対象とした、完全給付型奨学金制度をスタートする準備を進めていることをお伝えしたいと思います。

 ところで、当社は毎年、創立記念日の52日は休業日とさせていただいております。皆様に感謝しつつお休みさせていただきますが、何卒ご容赦いただき、これからも当社を応援していただけますよう、宜しくお願い申し上げます。